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交通事故でむちうちになったら最初にやること|通院から示談までの流れを徹底解説

突然の交通事故でむちうちを負い、これからどうすれば良いのかと、大きな不安を抱えていらっしゃるかもしれません。ご安心ください。この記事では、事故発生直後の初期対応から、その後の通院、慰謝料の請求、そして示談解決に至るまでの具体的な流れを、順を追って詳しく解説します。適切な手順を知り、一つひとつ着実に対応していくことが、お体の状態を根本から見直し、正当な補償を受け取るための最も重要な鍵となります。まずは全体像を把握し、落ち着いて次の一歩を踏み出しましょう。

1. 交通事故でむちうちになったらまずやるべき初期対応

突然の交通事故、特にむちうちのような外見からは分かりにくい症状の場合、何から手をつければ良いのか分からず、動揺してしまうのは当然のことです。しかし、事故直後の初期対応は、ご自身の身体を守り、適切な補償を受けるために非常に重要となります。ここでは、万が一の際に落ち着いて行動できるよう、事故発生直後にやるべきことを順を追って解説します。

1.1 警察への連絡と実況見分

交通事故に遭ったら、けが人の救護が最優先ですが、それが終わったら、どのような小さな事故であっても必ず警察に連絡してください。警察への連絡は法律で定められた義務であると同時に、後の手続きで必要となる「交通事故証明書」を発行してもらうために不可欠な手続きです。

警察が到着すると、事故の状況を確認する「実況見分」が行われます。この実況見分では、事故がどのようにして起こったのかを当事者双方から聞き取り、記録が作成されます。この記録は、後の示談交渉において事故の過失割合を判断する際の重要な資料となります。ご自身の記憶や認識と異なる点があれば、その場で遠慮せずにしっかりと伝えましょう。たとえその場では痛みを感じていなくても、少しでも身体に違和感がある場合は、その旨を警察官に伝え、人身事故として届け出ることを検討してください。

1.2 加害者の情報確認と保険会社への連絡

警察の到着を待つ間、加害者の情報を正確に確認しておくことが大切です。冷静な対応が難しい状況かもしれませんが、後の手続きをスムーズに進めるために、以下の項目は必ず確認し、メモなどに控えておきましょう。

確認項目主な確認内容
加害者の情報氏名、住所、電話番号などの連絡先
車両の情報自動車の登録番号(ナンバープレート)、車種、色
保険の情報加入している自賠責保険会社名と証明書番号、任意保険会社名、証券番号、連絡先
その他の情報運転免許証の提示を求め、氏名や住所などを確認する。勤務先や雇い主の情報を確認できる場合はそれも控えておくと良いでしょう。

加害者の情報確認と並行して、ご自身が加入している自動車保険の会社にも事故の報告をしてください。今後の対応についてアドバイスをもらえるだけでなく、ご自身の保険(搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険など)が使える場合もありますので、忘れずに連絡しましょう。

1.3 専門機関で状態を確認し証明書類をもらう

警察への連絡や相手方の情報確認が終わったら、できるだけ速やかに交通事故の身体への影響を専門的にみてくれる機関へ向かってください。特にむちうちは、事故直後には症状が現れず、数時間後や翌日以降に痛みや不調が出てくることが非常に多いのが特徴です。

1.3.1 交通事故のむちうちはまず専門機関へ

交通事故によるむちうちなどの不調は、骨だけでなく、筋肉や靭帯といった軟部組織が損傷しているケースが少なくありません。そのため、レントゲンなどの画像検査だけでは異常が見つからないこともあります。交通事故による身体への影響を多角的に調べることができる、専門の機関でみてもらうことが重要です。そこで身体の状態を客観的に記録した証明書類を発行してもらうことで、その後の補償手続きを円滑に進めることができます。

1.3.2 事故当日に痛みがなくても専門機関に行くべき理由

事故直後は「たいしたことはない」と感じても、必ず専門機関で身体の状態を確認してもらってください。その理由は主に2つあります。

一つ目は、事故とご自身の症状との因果関係を客観的に証明するためです。事故から日数が経過してから専門機関を訪れると、その症状が本当に交通事故によるものなのか判断が難しくなり、保険会社から因果関係を疑われてしまう可能性があります。事故後すぐに専門機関でみてもらうことで、事故と症状の関連性が明確になり、後の補償交渉で不利になる事態を防ぐことができます。

二つ目は、症状の長期化や悪化を防ぐためです。事故直後は心身ともに興奮状態にあり、痛みを感じにくいことがあります。しかし、水面下では身体がダメージを負っている可能性が高いのです。自己判断で放置してしまうと、後から強い痛みやしびれ、頭痛、めまいといった様々な不調が現れ、回復が長引く原因にもなりかねません。早期に適切な処置を受けることが、身体への負担を最小限に抑え、健やかな状態を取り戻すための第一歩となります。

2. 交通事故によるむちうちの症状と検査方法

交通事故による衝撃は、ご自身が思っている以上に身体へ大きな負担をかけています。特に「むちうち」は、事故直後には症状がなくても、後から痛みや不調が現れることが多いため注意が必要です。ここでは、むちうちで現れる代表的な症状と、状態を正確に把握するために行われる検査について詳しく解説します。

2.1 むちうちで現れる代表的な症状

「むちうち」とは、正式な傷病名ではなく、追突などの衝撃で首が鞭のようにしなることで起こる様々な症状の総称です。一般的には「頸椎捻挫(けいついねんざ)」や「外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」などと呼ばれます。

むちうちの症状は多岐にわたり、首の痛みだけでなく、頭痛やめまい、手足のしびれなど、全身に不調が及ぶこともあります。最も注意すべき点は、事故当日は興奮状態にあるため痛みを感じにくく、数時間後から数日経ってから症状が出てくるケースが非常に多いことです。「大したことはない」と自己判断せず、少しでも違和感があれば必ず専門の機関を受診しましょう。

むちうちで現れる主な症状は、以下の通りです。

症状の分類具体的な症状の例
首周辺の症状首の痛み、首が回らない・動かしにくい(可動域制限)、首や肩のこり・ハリ感、寝違えたような痛み
神経に関わる症状腕や手のしびれ・だるさ、指先の感覚の異常、力が入らない(握力低下)、脚のしびれ
頭部・顔面の症状頭痛(特に後頭部)、めまい、ふらつき、吐き気、耳鳴り、目のかすみ・目の疲れ
全身・精神的な症状全身の倦怠感、集中力の低下、記憶力の低下、不眠、気分の落ち込み、食欲不振

これらの症状が複数重なって現れることも少なくありません。ご自身の身体の状態を注意深く観察し、些細な変化も見逃さないようにすることが大切です。

2.2 病院で行われるむちうちの検査内容

むちうちは、骨折などとは異なり、外見から損傷が分かりにくいという特徴があります。そのため、適切な処置や補償を受けるためには、病院で検査を受け、身体の状態を客観的に調べてもらうことが不可欠です。

検査では、事故の状況や自覚症状をできるだけ具体的かつ正確に伝えることが、適切な診断の第一歩となります。いつ、どこで、どのように痛みや不調を感じるのかを、あらかじめメモなどにまとめておくとスムーズに伝えられます。

一般的に行われる検査には、以下のようなものがあります。

検査の種類主な検査内容検査によってわかること
問診事故の状況(衝撃の方向や強さ)、自覚症状(痛みの場所、種類、しびれの有無など)、日常生活への支障などを詳しくヒアリングします。症状の原因や状態を推測するための重要な情報となります。
徒手検査首や肩の動き(可動域)の確認、特定の動作で痛みやしびれが誘発されるかのテスト(神経学的テスト)、感覚の異常や筋力のチェックなどを行います。筋肉や神経の損傷の度合いや、どの部分に問題があるのかを判断します。
レントゲン検査(X線検査)首の骨(頸椎)を様々な角度から撮影します。骨折や脱臼、骨の変形といった骨の異常の有無を確認します。むちうちの原因となる筋肉や靭帯などの軟部組織の損傷は写りません。
MRI検査磁気を利用して身体の断面を撮影します。レントゲンでは見えない部分を詳細に確認できます。筋肉、靭帯、椎間板、神経といった軟部組織の損傷状態を詳しく調べることができます。しびれなどの神経症状が強い場合に行われることが多いです。

レントゲン検査で「異常なし」とされても、痛みやしびれといった自覚症状がなくなるわけではありません。これは、レントゲンが骨の異常を発見するためのものであり、筋肉や神経の損傷を捉えることができないためです。つらい症状がある場合は、決して我慢せず、担当者にしっかりと伝え、必要に応じて追加の検査を検討してもらうことが重要です。

3. 交通事故後のむちうち治療と通院のポイント

交通事故でむちうちになってしまった場合、適切な施術を継続的に受けることが、心身の負担を軽減し、その後の示談交渉を有利に進めるためにも非常に重要です。ここでは、施術の流れや通院における注意点、そして保険会社とのやり取りについて詳しく解説します。

3.1 むちうち治療の流れと通院期間の目安

むちうちの施術は、症状の経過に合わせて段階的に進めていくのが一般的です。事故直後は炎症を抑えることを優先し、その後、身体の状態を見ながら可動域を広げるための施術や、筋肉のこわばりを和らげるための手技などに移行していきます。

通院期間は、むちうちの程度によって大きく異なりますが、一般的な目安は次の通りです。

症状の程度通院期間の目安主な状態
軽傷1ヶ月~3ヶ月痛みやしびれはあるものの、日常生活への支障が比較的小さい状態。
中等症3ヶ月~6ヶ月首の痛みや可動域制限に加え、頭痛やめまい、吐き気などを伴う状態。
重症6ヶ月以上強い痛みやしびれが継続し、日常生活に大きな支障が出ている状態。後遺障害が残る可能性も考慮される。

大切なのは、ご自身の判断で通院を中断しないことです。痛みが少し和らいだからといって通院をやめてしまうと、後から症状がぶり返す可能性があります。また、通院実績が少ないと、症状が軽かったと判断され、後の慰謝料請求で不利になるケースもあります。身体の違和感が完全になくなるまで、専門家と相談しながら計画的に通院を続けましょう。

3.2 医療機関と整骨院(接骨院)の併用は可能か

交通事故のむちうちでは、医療機関と整骨院(接骨院)を併用して通院することが可能です。それぞれ役割が異なるため、両方の長所を活かすことで、より効果的な回復が期待できます。

医療機関では、レントゲンやMRIといった精密検査による診断や、痛み止めの処方などが行われます。一方、整骨院(接骨院)では、手技や電気、温熱などを組み合わせ、一人ひとりの身体の状態に合わせたきめ細やかな施術を受けることができます。筋肉の緊張を和らげたり、身体のバランスを整えたりといったアプローチは、整骨院(接骨院)が得意とするところです。

併用を希望する場合は、事前に加害者側の保険会社の担当者にその旨を伝えておくと、その後の手続きがスムーズに進みます。無断で併用を開始すると、後から整骨院(接骨院)での施術費の支払いを拒否されるといったトラブルに発展する可能性もあるため、必ず一報を入れるようにしてください。

3.3 治療費の支払い方法と保険会社への対応

交通事故の施術にかかる費用は、原則として加害者側の保険会社が負担します。支払い方法には、主に2つのパターンがあります。

一つは「一括対応」と呼ばれる方法です。これは、加害者側の任意保険会社が、施術費用を直接、通院先の医療機関や整骨院に支払う仕組みです。この方法を利用すれば、被害者が窓口で一時的に費用を立て替える必要がなく、金銭的な負担を気にせず施術に専念できます。多くの場合、この一括対応が利用されます。

もう一つは、被害者が一旦窓口で費用を全額支払い、後日その領収書を保険会社に提出して支払いを受ける「立て替え払い」です。事故態様に争いがある場合や、加害者が任意保険に加入していない場合などにこの方法が取られることがあります。

また、状況によってはご自身の健康保険を利用して通院することも選択肢の一つです。その際は「第三者行為による傷病届」を提出する必要がありますが、一括対応が受けられない場合でも、窓口での負担を抑えながら施術を継続できます。

3.3.1 治療費の打ち切りを打診された場合の対処法

通院を始めてから2~3ヶ月ほど経つと、加害者側の保険会社から「そろそろ施術費の支払いを終了したい」と、いわゆる「打ち切り」の打診をされることがあります。しかし、これはあくまで保険会社側の都合による提案であり、法的な強制力はありません。

もし打ち切りの連絡があっても、まだ痛みやしびれなどの症状が残っているのであれば、安易に同意してはいけません。施術を続ける必要があるかどうかは、保険会社ではなく、ご自身の身体の状態と、それを見ている専門家の判断が最も重要です。

まずは、通院している整骨院(接骨院)などに相談し、まだ施術が必要な状態であることを専門家の視点から保険会社に伝えてもらうのが有効です。それでも一方的に支払いを打ち切られてしまった場合でも、ご自身の健康保険や自費で施術を継続し、その費用を後から示談交渉の際に請求するという方法があります。大切なのは、症状が残っているにもかかわらず、施術を諦めてしまわないことです。

4. 交通事故のむちうちで請求できる慰謝料と賠償金

交通事故でむちうちになってしまった場合、事故の相手方(加害者)が加入している保険会社に対して、さまざまな損害に対する賠償を請求することができます。この金銭的な補償全体を「損害賠償金」と呼び、その中には精神的な苦痛に対する「慰謝料」も含まれます。多くの方が混同しがちですが、慰謝料は損害賠償金の一部という位置づけです。ここでは、具体的にどのような項目を請求できるのか、そして慰謝料の計算方法について詳しく解説していきます。

4.1 むちうちで請求できる損害賠償の内訳

交通事故のむちうちで請求できる損害賠償は、一つではありません。実際に生じた損害に応じて、複数の項目に分けて請求するのが一般的です。主に、以下のようなものが挙げられます。

4.1.1 治療関係費

事故によって受けたむちうちの状態をみていくためにかかった費用です。具体的には、施術費、検査料、薬品料、湿布などの費用が含まれます。また、通院に利用した公共交通機関の運賃や、タクシー代、自家用車で通った場合のガソリン代なども「通院交通費」として請求の対象となります。身体の状態を支えるためにコルセットなどの装具が必要になった場合、その購入費用も認められることがあります。

4.1.2 休業損害

むちうちの症状により、仕事を休まざるを得なくなった場合の収入減少分を補償するものです。これは正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイト、個人事業主(自営業者)なども対象となります。また、具体的な収入がない主婦(主夫)であっても、家事労働に支障が出たとして休業損害が認められます。休業損害は、事故前の収入を基礎として、休業した日数に応じて計算されるのが基本です。

4.1.3 入通院慰謝料

交通事故が原因で通院を余儀なくされたことによる、精神的な負担や苦痛に対して支払われる賠償金です。これは「傷害慰謝料」とも呼ばれます。慰謝料の金額は、通院を開始してから症状が落ち着くまでの「期間」と、実際に通院した「日数」を基に計算されます。痛みや不調があるにもかかわらず通院を自己判断でやめてしまったり、通院頻度が極端に少なかったりすると、症状が軽いと判断され、受け取れる慰謝料が低くなる可能性があるため注意が必要です。身体の状態に合わせて、適切な頻度で通院を続けることが重要です。

4.2 むちうちの慰謝料相場と3つの計算基準

入通院慰謝料を計算する際には、実は3つの異なる基準が存在します。どの基準を用いて計算するかによって、最終的に受け取れる金額が大きく変わることがあります。それぞれの基準の特徴を理解しておくことが、ご自身の状況を正しく把握する上で非常に大切になります。

基準の名称概要金額の水準
自賠責基準すべての自動車に加入が義務付けられている自賠責保険で用いられる、最低限の補償を目的とした基準です。低い
任意保険基準加害者が加入する任意保険会社が、示談交渉の際に内部的に用いる独自の基準です。中程度
弁護士基準(裁判基準)過去の裁判例に基づいて定められている基準で、弁護士が交渉する場合や裁判で用いられます。高い

4.2.1 自賠責基準

自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するための最低限の補償を確保する制度です。そのため、ここで用いられる自賠責基準は、3つの基準の中では最も金額が低くなる傾向があります。慰謝料の計算方法は法令で定められており、通院期間と実通院日数を基に算出されます。ただし、自賠責保険には傷害部分の支払上限額が120万円と定められており、施術費や休業損害なども含めてこの範囲内で支払われることになります。

4.2.2 任意保険基準

加害者が加入している任意保険会社が、被害者との示談交渉で提示してくる金額の算定に用いるのが、この任意保険基準です。各保険会社が独自に設けている内部的な基準であり、その内容は公表されていません。一般的には、前述の自賠責基準よりは高いものの、後述する弁護士基準よりは低い金額になることがほとんどです。

4.2.3 弁護士基準(裁判基準)

弁護士基準は、これまでの裁判の積み重ね(判例)によって形成された基準で、「裁判基準」とも呼ばれます。専門家である弁護士が被害者の代理人として保険会社と交渉する際や、実際に裁判になった際に用いられます。法的に正当な賠償額の基準と考えられており、3つの基準の中では最も高額になる可能性が高いです。しかし、被害者本人が直接保険会社と交渉しても、保険会社側がこの基準での支払いにすんなり応じることは稀で、多くの場合、任意保険基準での解決を提案されるのが実情です。

5. むちうちの症状が治らない場合の後遺障害等級認定

交通事故の後、適切な期間にわたって継続的に施術を受けても、残念ながら痛みやしびれ、可動域の制限といった症状が残ってしまうことがあります。このように、これ以上施術を続けても症状の大きな改善が見込めない状態(症状固定)になった後も残存する症状については、「後遺障害」として認定を受けるための手続きを検討することになります。ここでは、後遺障害等級認定の詳しい内容について解説します。

5.1 後遺障害とは

後遺障害とは、交通事故によって受けた傷害が、将来にわたって回復が困難と見込まれる状態として残り、その症状が労働能力の喪失を伴うものとして、自賠責保険の基準に基づき所定の等級に認定されたものを指します。

単に症状が残っている「後遺症」とは異なり、損害保険料率算出機構という専門機関による審査を経て、後遺障害等級として正式に認定されることで、初めて後遺障害慰謝料や逸失利益といった賠償の対象となります。むちうちの場合、首の痛みや肩こり、手足のしびれ、頭痛、めまい、吐き気といった症状が後遺障害として問題になるケースが多く見られます。

5.2 後遺障害等級認定の申請手続きの流れ

後遺障害等級認定を受けるためには、定められた手順に沿って手続きを進める必要があります。主な流れは以下の通りです。

1. 症状固定の判断
施術を継続しても症状が一進一退となり、これ以上の改善が見込めないと判断されるタイミングを「症状固定」といいます。どのタイミングを症状固定とするかは、体の状態を見ながら慎重に判断する必要があります。一般的に、事故から6ヶ月程度の継続的な通院が一つの目安とされています。

2. 後遺障害診断書の作成
症状固定の判断がなされたら、後遺障害等級認定の申請に不可欠な「後遺障害診断書」を作成してもらう必要があります。これは、これまでの施術の経過や、現在残っている自覚症状、各種検査の結果などを詳細に記録する専門の書類です。症状の実態を正確に記載してもらうことが、適切な等級認定を受けるための重要な鍵となります。

3. 申請方法の選択と手続き
申請方法には、「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。

  • 事前認定:加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を提出し、残りの手続きを任せる方法です。被害者にとっては手間が少ないという利点がありますが、どのような書類が提出されたかを確認しづらい側面もあります。
  • 被害者請求:被害者自身が必要な書類をすべて集め、加害者側の自賠責保険会社に直接提出して申請する方法です。書類集めに手間がかかりますが、症状を裏付けるための補足資料を添付するなど、主体的に手続きを進められるため、より納得のいく結果につながりやすいという大きな利点があります。

4. 損害保険料率算出機構による審査と結果通知
提出された書類は、損害保険料率算出機構という中立・公正な第三者機関で審査されます。審査では、後遺障害診断書の内容や施術の経過、事故の状況などを基に、症状がどの等級に該当するか、あるいは非該当かが判断されます。審査が完了すると、その結果が通知されます。万が一、認定結果に納得できない場合は、異議申立てという不服申立ての手続きを行うことも可能です。

5.3 むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級

むちうちの症状で後遺障害として認定される可能性があるのは、主に「14級9号」と「12級13号」です。どちらの等級に認定されるかは、残存した症状が医学的にどの程度説明・証明できるかによって決まります。

等級認定基準の名称認定のポイント
第12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの痛みやしびれといった症状の原因が、MRIやレントゲンなどの画像検査によって客観的に確認できる(医学的に証明できる)場合に認定される可能性があります。例えば、骨の変形や椎間板の異常などが画像で明確に指摘できるケースが該当します。
第14級9号局部に神経症状を残すもの画像検査では明確な異常所見が見つからないものの、事故の状況や症状の一貫性、継続的な通院実績などから、症状の存在が医学的に説明できる場合に認定される可能性があります。むちうちの後遺障害としては、こちらの14級9号に認定されるケースが最も多いです。

適切な等級認定を受けるためには、症状固定に至るまでの通院の仕方や、後遺障害診断書に記載される内容が非常に重要になります。症状が残ってしまった場合は、諦めずに専門家へ相談しながら、慎重に手続きを進めていくことが望ましいでしょう。

6. 保険会社との示談交渉から解決までの流れ

交通事故によるむちうちの施術がある程度進み、心身の状態が落ち着いてくると、次はいよいよ加害者側の保険会社との示談交渉が始まります。示談とは、交通事故によって生じた損害について、当事者同士が話し合いによって解決し、賠償金額を決定することです。一度示談が成立すると、原則として後から内容を覆すことはできません。そのため、適切な知識を持って慎重に進めることが極めて重要です。この章では、示談交渉を開始する適切なタイミングから、交渉を有利に進めるための注意点、そして専門家へ相談するメリットまでを詳しく解説します。

6.1 示談交渉を開始するタイミング

加害者側の保険会社から早い段階で示談の連絡が来ることがありますが、焦って応じるべきではありません。示談交渉を開始する最も適切なタイミングは、「交通事故によって生じたすべての損害額が確定した後」です。

具体的には、以下の状態になってから交渉を始めるのが原則です。

  • むちうちの施術が完了した、もしくはこれ以上続けても大幅な変化が見込めない「症状固定」と判断された後
  • 後遺障害が残った場合は、後遺障害等級認定の結果が出た後
  • 通院にかかった交通費や、仕事を休んだことによる休業損害などの金額がすべて確定した後

なぜなら、施術の途中や損害額が未確定の段階で示談を成立させてしまうと、その後に発生した施術費や、判明した損害について追加で請求することが非常に困難になるからです。特にむちうちは、後から症状が悪化するケースも少なくありません。保険会社から示談を急かされたとしても、「まだ施術中です」とはっきりと伝え、ご自身の体の状態を第一に考えて対応しましょう。

6.2 示談交渉の注意点と示談書の確認ポイント

示談交渉が始まったら、保険会社の担当者と具体的な賠償金額について話し合いを進めていきます。その際、相手方の提示内容を鵜呑みにせず、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。そして、最終的に合意した内容をまとめた「示談書」に署名・捺印する前には、細心の注意を払って内容を確認しなければなりません。

交渉で不利にならないためには、まず相手方の提示額が妥当なものかを見極めることが大切です。特に慰謝料については、保険会社が独自の基準で計算した、比較的低額な金額が提示されることが一般的です。また、ご自身の過失割合についても、相手方の主張が一方的なものでないか、事故の状況に照らして適正な割合であるかを確認し、納得できない場合は安易に同意しないようにしましょう。

交渉の末、双方が合意に至ると示談書(免責証書)が送られてきます。これは法的な効力を持つ非常に重要な書類です。署名・捺印する前に、以下の項目を必ず確認してください。

確認項目チェックすべきポイント
当事者の情報加害者と被害者双方の氏名・住所などが正確に記載されているか。
事故の情報事故が発生した日時、場所、自動車の登録番号などが正しく記載されているか。
損害賠償金の総額合意した金額と相違がないか。
賠償金の内訳施術関係費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料など、各項目と金額が明記されているか。
過失割合合意した過失割合(例:「甲(加害者)90%、乙(被害者)10%」)が正しく記載されているか。
支払条件「誰が誰に」「いつまでに」「どのようにして」支払うのかが具体的に記載されているか。
清算条項「本示談書に定めるほか、当事者間には何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった一文です。これがあると、示談書に記載された内容以外の一切の請求権を放棄することになり、後から新たな損害が発覚しても追加請求はできません。

6.3 交通事故のむちうち問題を弁護士に相談するメリット

保険会社との示談交渉は、専門知識や交渉経験の差から、被害者側が不利な状況に置かれやすいのが実情です。もし、提示された賠償金額に納得がいかない、過失割合に不満がある、交渉自体が精神的な負担になっているといった場合には、交通事故問題の専門家である弁護士に相談することを検討しましょう。

弁護士に依頼することで、以下のような大きなメリットが期待できます。

  • 慰謝料の増額が期待できる
    弁護士は、過去の裁判例を基にした最も高水準な「弁護士基準(裁判基準)」を用いて交渉します。保険会社が提示する基準よりも高額になるケースがほとんどで、特にむちうちの慰謝料や後遺障害慰謝料において、大幅な増額が期待できます。
  • 保険会社との交渉をすべて任せられる
    煩雑で精神的にも負担の大きい保険会社とのやり取りを、すべて弁護士が代行してくれます。これにより、被害者の方は交渉のストレスから解放され、ご自身の体の状態と向き合うことに専念できます。
  • 後遺障害等級認定のサポートが受けられる
    むちうちで後遺症が残ってしまった場合、適切な後遺障害等級の認定を受けることが、正当な賠償金を受け取るうえで非常に重要です。弁護士は、認定の可能性を高めるための専門的なアドバイスや、申請手続きのサポートを行ってくれます。
  • 適切な過失割合を主張できる
    事故状況を法的な観点から客観的に分析し、相手方が主張する不当に不利な過失割合を、より実態に即した適切な割合に修正できるよう交渉してくれます。

「弁護士に依頼すると費用が高そう」と心配される方もいるかもしれませんが、ご自身やご家族が加入している自動車保険などに「弁護士費用特約」が付帯している場合があります。この特約を利用すれば、多くの場合、自己負担なしで弁護士に相談・依頼することが可能です。まずはご自身の保険契約の内容を確認してみることをお勧めします。示談交渉は交通事故問題解決の最終関門です。後悔のない解決を目指すために、専門家の力を借りるという選択肢をぜひ覚えておいてください。

7. まとめ

交通事故によるむちうちは、初期対応がその後の流れを大きく左右します。事故直後に痛みがなくても、後の補償のために必ず病院で診察を受けましょう。治療を進める中で、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることもありますが、医師が必要と判断する限り治療を続けることが大切です。慰謝料には3つの基準があり、どの基準で計算されるかで金額が大きく変わります。示談交渉は慎重に進め、納得のいく解決を目指しましょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

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