腱鞘炎

産後の指の腱鞘炎で悩むママへ:つらい痛みを和らげる原因と対策

産後、指や手首の痛みで悩んでいませんか?赤ちゃんを抱っこしたり、授乳したりするたびに感じるズキッとした痛みは、慣れない育児のストレスをさらに増大させてしまいますよね。そのつらい指の痛みは、産後のホルモンバランスの変化と、赤ちゃんのお世話による指への過度な負担が主な原因です。しかし、ご安心ください。適切な知識と対策を知ることで、その痛みは和らぎ、快適な育児を取り戻すことができます。

この記事では、なぜ産後に指の腱鞘炎が起こりやすいのか、そのメカニズムを詳しく解説いたします。ご自身の症状が腱鞘炎によるものか判断できるセルフチェック方法もご紹介し、ドケルバン病やばね指といった腱鞘炎の種類についても触れます。さらに、つらい痛みを和らげるための効果的なセルフケアや、育児中でも実践できる悪化させない工夫、そして専門家への相談のタイミングと選択肢まで、幅広くお伝えします。日々の生活で実践できる予防策も網羅していますので、この記事を読み終える頃には、指の痛みに悩まされず、より快適な育児を送るためのヒントがきっと見つかるはずです。

1. 産後の指の腱鞘炎はなぜ起こる?その原因を徹底解説

産後のママの指に起こる腱鞘炎は、多くの方が経験するつらい症状です。なぜ産後に腱鞘炎が発症しやすいのか、その原因は一つではありません。ここでは、産後の体に特有の要因から、日々の生活に潜む見落としがちな原因まで、詳しく解説していきます。

1.1 産後の腱鞘炎に深く関わるホルモンバランスの変化

妊娠中から産後にかけて、女性の体は大きな変化を経験します。特に、ホルモンバランスの変化は、腱鞘炎の発症に深く関わっていると言われています。

妊娠中に分泌される「リラキシン」というホルモンは、出産時に骨盤を広げやすくするために、関節や靭帯を緩める働きがあります。このリラキシンの影響は、出産後もしばらく体に残り、指や手首の腱や腱鞘にも及びます。腱や腱鞘が緩むことで、わずかな負担でも炎症を起こしやすくなると考えられています。

また、産後には女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が急激に減少します。エストロゲンには、腱や腱鞘の滑らかな動きを助ける作用があるため、その減少は腱鞘の潤滑性を低下させ、摩擦が生じやすくなる原因となることがあります。これらのホルモンバランスの変化が重なり、産後の指は腱鞘炎になりやすい状態にあるのです。

1.2 赤ちゃんのお世話が指に与える過度な負担

赤ちゃんが生まれると、ママの生活は一変します。愛しい赤ちゃんの笑顔は大きな喜びですが、育児は想像以上に指や手首に負担をかける動作の連続です。

例えば、次のような日常的な育児動作が、知らず知らずのうちに指や手首に過度な負担をかけています。

  • 抱っこ: 赤ちゃんの頭や体を支える際に、親指や手首に力が入りがちです。特に、首がすわる前の赤ちゃんを抱き上げる動作は、手首を反らせた状態で親指を酷使しやすいです。
  • 授乳: 授乳中、赤ちゃんを支えるために腕や手首、指を長時間固定することが多くあります。哺乳瓶を使用する場合も、指でしっかりと握り続けることで負担がかかります。
  • おむつ交換や着替え: 赤ちゃんの体を持ち上げたり、衣類を引っ張ったりする際に、指先に細かい力が入ります。
  • 沐浴: 滑りやすい赤ちゃんを安定して支えるために、指や手首に強い力が入ることがあります。
  • ベビーカーの操作や荷物の持ち運び: 赤ちゃんとのお出かけでは、ベビーカーを押したり、重いマザーズバッグを持ったりと、手や腕全体に負担がかかります。

これらの動作は、一回ごとの負担は小さくても、一日を通して何度も繰り返されるため、指や手首の腱や腱鞘に蓄積的なダメージを与え、炎症を引き起こしやすくなります。特に、睡眠不足や疲労が重なると、体の回復力が低下し、さらに症状が悪化する可能性もあります。

1.3 見落としがちな生活習慣と腱鞘炎の関係

産後の腱鞘炎は、ホルモンバランスの変化や育児による負担だけでなく、日々の見落としがちな生活習慣も大きく影響しています。

現代の生活において、スマートフォンの使用は欠かせないものですが、片手での操作やフリック入力などは、親指に大きな負担をかけます。授乳中や抱っこ中に、ついついスマートフォンを長時間操作してしまうという方も多いのではないでしょうか。このような習慣が、腱鞘炎のリスクを高めることがあります。

また、家事も指や手首に負担をかける要因となります。例えば、料理での包丁使い、洗濯物を絞る動作、掃除機をかける際の持ち方など、日常的な家事の中にも指や手首を酷使する場面はたくさんあります。育児と家事を同時にこなす産後のママは、無意識のうちに手首や指を使いすぎている可能性があります。

さらに、体の冷えや血行不良も腱鞘炎を悪化させる原因となることがあります。冷えによって筋肉や腱が硬くなり、動きがスムーズでなくなることで、炎症が起きやすくなります。ストレスや睡眠不足も、体の回復力を低下させ、痛みを悪化させる要因となるため、心身のバランスを整えることも重要です。

2. もしかして腱鞘炎?産後の指に現れる症状と自己チェック法

産後の指の痛みは、腱鞘炎の可能性を考えられます。ここでは、代表的な腱鞘炎の種類とその症状、そしてご自身で簡単にできるチェック方法をご紹介します。

2.1 ドケルバン病やばね指など腱鞘炎の種類と症状

腱鞘炎と一口に言っても、痛む場所や症状によっていくつかの種類があります。産後のママに特に多いのは、親指の付け根に痛みが生じる「ドケルバン病」と、指の曲げ伸ばしで引っかかりを感じる「ばね指」です。

それぞれの腱鞘炎には、特徴的な症状があります。ご自身の指の痛みと照らし合わせてみてください。

腱鞘炎の種類主な症状痛む部位の特徴
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)親指の付け根から手首にかけての痛み 親指を動かすと痛みが強くなる 物をつまむ、ねじる動作で痛む 患部の腫れや熱感親指の根元、手首の親指側
ばね指(弾発指)指の付け根(手のひら側)の痛み、腫れ 指を曲げ伸ばしする際に、引っかかりやカクカクとした動きがある 進行すると指が伸びなくなることがある 朝方に症状が強く出やすい指の付け根(手のひら側)、特に親指、中指、薬指に多い

これらの症状は、指の腱と腱鞘が摩擦を起こし、炎症しているサインです。放置すると症状が悪化することもありますので、ご自身の症状に心当たりがある場合は、注意深く観察することが大切です。

2.2 指の痛みが腱鞘炎かどうかの簡単なセルフチェック

ご自身の指の痛みが腱鞘炎によるものかどうか、ご自宅で簡単に試せるセルフチェックをご紹介します。ただし、これらのチェックはあくまで目安であり、確定的なものではありません。

2.2.1 ドケルバン病のセルフチェック

親指の腱鞘炎であるドケルバン病が疑われる場合、以下の方法でチェックできます。

  1. まず、親指を他の4本の指で包み込むようにして握りこんでください。
  2. そのまま、手首を小指側にゆっくりと曲げてみてください。
  3. この時に、親指の付け根や手首の親指側に強い痛みを感じるようであれば、ドケルバン病の可能性があります。

無理に力を入れたり、痛みを我慢したりせず、少しでも痛みを感じたらすぐに中止してください。

2.2.2 ばね指のセルフチェック

指の引っかかりが特徴のばね指が疑われる場合は、以下の方法でチェックできます。

  1. 手のひら側の指の付け根(特に痛むと感じる箇所)を軽く押してみてください。痛みやしこりのようなものがないか確認します。
  2. 次に、指をゆっくりと曲げ伸ばししてみてください。この時に、カクカクとした引っかかりを感じたり、指がスムーズに動かせなかったりする場合、ばね指の可能性があります。
  3. 特に、朝起きた時や、指をしばらく使った後に症状が強く出る傾向があります。

これらのセルフチェックで痛みや異常を感じた場合は、症状が悪化する前に、専門家へ相談することをおすすめします。ご自身の体の声に耳を傾け、適切な対処を検討しましょう。

3. 今日からできる!産後の指の腱鞘炎を和らげるセルフケア

産後の指の腱鞘炎は、日々の育児の中でつらい症状として現れることがあります。しかし、ご自身の生活に合わせたセルフケアを今日から取り入れることで、その痛みを和らげ、快適な育児を送る手助けになります。ここでは、ご自宅で簡単に実践できる効果的なケア方法をご紹介いたします。

3.1 痛みを軽減する効果的な指のストレッチとマッサージ

指や手首の腱鞘炎の痛みは、炎症だけでなく、周囲の筋肉の緊張や血行不良が原因となることもあります。無理のない範囲でストレッチやマッサージを取り入れることで、指や手首の柔軟性を高め、血行を促進し、痛みの軽減につながります。痛みを感じる場合はすぐに中止し、決して無理はしないでください。

ケアの種類目的・効果具体的な方法注意点
指の反らしストレッチ指の腱の柔軟性向上、ドケルバン病の症状緩和手のひらを上にして腕を伸ばし、もう片方の手で痛む指をゆっくりと手の甲側に反らします。手首も一緒に反らすとより効果的です。痛みを感じない範囲で20秒ほどキープし、ゆっくり戻します。痛みを感じるまで無理に反らさないでください。
指の曲げ伸ばしストレッチばね指の症状緩和、指の可動域拡大指を一本ずつゆっくりと根元から曲げ、次にゆっくりと伸ばします。特に指の付け根が固まっていると感じる部分を意識して行います。カクッと引っかかる感覚がある場合は、ゆっくりと優しく行ってください。
前腕のマッサージ指につながる筋肉の緊張緩和、血行促進肘から手首にかけての前腕部分を、もう片方の手の指の腹を使って優しくさするようにマッサージします。特に筋肉が張っていると感じる部分を重点的に行います。強い圧をかけすぎず、心地よいと感じる程度の力加減で行ってください。
指の付け根のマッサージ腱鞘の柔軟性向上、血行促進指の付け根の関節部分を、親指と人差し指で挟むようにして円を描くように優しく揉みほぐします。特に痛む指の付け根を丁寧に行います。炎症が強い場合や熱感がある場合は、マッサージは避け、冷やす対処を優先してください。

これらのストレッチやマッサージは、入浴後など体が温まっている時に行うとより効果的です。毎日少しずつでも継続することが大切です。

3.2 サポーターやテーピングで指の負担を減らす方法

育児中は、抱っこや授乳など、どうしても指や手首に負担がかかる動作が多くなります。サポーターやテーピングを適切に活用することで、患部の安静を保ち、指への負担を一時的に軽減できます。これにより、痛みの悪化を防ぎ、回復を促すことができます。

対処法目的・効果選び方・巻き方のポイント注意点
サポーター患部の固定、保護、保温、負担軽減親指の付け根や手首を固定するタイプが一般的です。サイズが合っているか、締め付けすぎないかを確認してください。素材は通気性の良いものや、水仕事に対応できるものが便利です。長時間装着しすぎると、かえって血行不良や筋力低下を招くことがあります。外している時間も作りましょう。
テーピング特定の指や関節の可動域制限、固定、サポート伸縮性のあるキネシオロジーテープや非伸縮性のホワイトテープなどがあります。親指の付け根や、痛む指の関節を固定するように巻きます。インターネットなどで巻き方を参考にしてください。皮膚がかぶれやすい方は、事前にパッチテストを行うことをおすすめします。強く巻きすぎると血行不良になるため、指先の色や感覚に注意してください。

サポーターやテーピングは、一時的な痛みの緩和や負担軽減に役立ちますが、根本的な治療ではないことを理解しておきましょう。症状が改善しない場合は、専門家にご相談ください。

3.3 温める?冷やす?腱鞘炎の症状に合わせた対処法

腱鞘炎の症状は、その時期や状態によって「温める」べきか「冷やす」べきかが異なります。ご自身の症状をよく観察し、適切な対処法を選ぶことが大切です。

対処法目的・効果適した症状具体的な方法
温める血行促進、筋肉の緊張緩和、痛みの軽減慢性的な痛み、こわばり、動かしにくさ、血行不良を感じる場合。特に朝起きた時の指のこわばりや、冷えによって痛みが増す場合に効果的です。温湿布、蒸しタオルを当てる、ぬるま湯に手をつける手浴、全身浴で体を温めるなど。
冷やす炎症の抑制、痛みの緩和、腫れの軽減急性の痛み、熱感、腫れ、ズキズキとした強い痛みがある場合。患部に炎症が起きている可能性が高い時に適しています。冷湿布を貼る、ビニール袋に氷と少量の水を入れた氷嚢(ひょうのう)をタオルで包んで患部に当てる(アイシング)など。

どちらの対処法も、皮膚に直接当てると凍傷や火傷のリスクがあるため、必ずタオルなどで包んでください。また、長時間の使用は避け、15分程度を目安に行いましょう。どちらが良いか迷う場合は、両方を試してみて、ご自身が心地よいと感じる方を選んでいただいても構いません。

4. 育児中でも大丈夫 産後の指の腱鞘炎を悪化させない工夫

産後の腱鞘炎は、育児中のママにとって非常につらいものですが、日々の工夫で症状の悪化を防ぎ、快適な育児を送ることは可能です。ここでは、育児をしながらでも実践できる、指への負担を減らす具体的な方法をご紹介します。

4.1 抱っこや授乳時の姿勢を見直して指への負担を軽減

赤ちゃんとの触れ合いはかけがえのない時間ですが、抱っこや授乳の姿勢が指や手首に大きな負担をかけていることがあります。少しの意識と工夫で、その負担を大きく減らせます。

  • 抱っこの仕方 赤ちゃんを抱っこする際は、指先や手首を反らして支えるのではなく、手のひら全体や腕、前腕を使って赤ちゃんを包み込むように意識しましょう。手首をまっすぐに保ち、腕全体で重さを分散させるイメージです。また、抱っこ紐を積極的に活用することで、腕や指への直接的な負担を大幅に減らせます。
  • 授乳の姿勢 授乳クッションを上手に使い、赤ちゃんの位置を高く保つことが重要です。これにより、ママの腕や手首が不自然に曲がったり、指先に力を入れたりするのを防げます。横抱きだけでなく、フットボール抱きなど、さまざまな授乳姿勢を試して、ご自身にとって最も楽な姿勢を見つけることが大切です。指先だけで赤ちゃんを支えるのではなく、腕全体でしっかりと支えることを意識してください。
  • その他のお世話 おむつ替えや着替え、お風呂など、日常の育児動作の際も、できるだけ指先に力を入れすぎないよう、手のひら全体を使う意識を持ちましょう。赤ちゃんを抱き上げる際も、膝を使い、体全体で持ち上げるようにすると、手首や指への負担を軽減できます。

4.2 腱鞘炎対策に役立つ便利グッズの活用術

育児をサポートしてくれる便利グッズを上手に活用することは、指の腱鞘炎の悪化を防ぐ上で非常に有効です。ご自身のライフスタイルに合わせて、積極的に取り入れてみましょう。

グッズの種類活用方法と効果
抱っこ紐、おんぶ紐赤ちゃんを抱っこする際の腕や手首への負担を大幅に軽減します。正しい装着方法で、赤ちゃんの体重を肩や腰で支えるようにしましょう。
授乳クッション授乳時に赤ちゃんを適切な高さに保ち、腕や手首の不自然な姿勢を防ぎます。複数のタイプがあるので、ご自身に合うものを選びましょう。
ベビーカー、バウンサー、ベビーラック抱っこ以外の選択肢を増やすことで、抱っこの時間を適度に分散させ、指や手首の休息時間を確保できます。家事中や食事中などに活用すると良いでしょう。
電動搾乳器母乳育児の場合、手で搾乳するよりも指への負担を大きく減らせます。手動タイプでも、指への負担が少ない工夫がされているものもあります。
調理家電(フードプロセッサーなど)離乳食の準備などで包丁やまな板を使う時間を減らし、指先への細かい作業負担を軽減できます。
指・手首用サポーター一時的に指や手首を固定し、動作時の負担を軽減します。ただし、長時間の使用は避け、適度な休憩と併用しましょう。素材やフィット感を重視して選びます。

5. 病院に行くべきタイミングと産後の指の腱鞘炎の治療法

産後の指の腱鞘炎は、セルフケアで症状が和らぐことも少なくありませんが、痛みが長引いたり悪化したりする場合は、専門家への相談を検討しましょう。適切な診断と治療を受けることで、つらい痛みを和らげ、快適な育児を送れるようになる可能性があります。

5.1 専門家への相談の目安と診察の流れ

ご自身の判断で無理をせず、専門家へ相談するタイミングを見極めることが大切です。以下のような症状が見られる場合は、一度専門家に見てもらうことをおすすめします。

相談を検討すべき症状詳細
痛みが悪化する、または我慢できない日常生活に支障が出るほどの強い痛みや、時間が経っても痛みが引かない場合です。
セルフケアで改善しないストレッチやマッサージ、サポーターなどで工夫しても、痛みが和らがない場合です。
指の動きに制限がある指を曲げ伸ばししにくい、引っかかる、ロックされる(ばね指の症状)などの状態です。
しびれや腫れが伴う痛みだけでなく、指や手首にしびれや明らかな腫れが見られる場合です。
日常生活に支障が出ている赤ちゃんの抱っこやお世話、家事などが痛みで困難になっている場合です。

専門家を受診した際には、まず問診で現在の症状や産後の状況、日常生活での困りごとなどを詳しく聞かれます。その後、指や手首の動きを確認する視診や触診、そして腱鞘炎の種類を特定するための徒手検査が行われます。必要に応じて、他の病気の可能性を除外するために、画像検査が提案されることもあります。これらの情報に基づいて、診断が下され、一人ひとりに合った治療方針が説明されます。

5.2 専門家による治療の選択肢

専門家による治療は、症状の程度や腱鞘炎の種類によって様々です。保存療法から、必要に応じて手術療法まで、いくつかの選択肢があります。ご自身の状態とライフスタイルに合った治療法を専門家と相談しながら選ぶことが重要です

治療法内容と期待される効果主な対象
薬物療法(内服薬・外用薬)炎症を抑え、痛みを和らげる目的で、飲み薬(消炎鎮痛剤)や湿布、塗り薬などが処方されます。比較的軽度な炎症や痛みがある場合。
注射療法腱鞘内に直接、炎症を抑える作用のある薬剤(ステロイドなど)を注入します。高い鎮痛効果が期待できますが、繰り返し行う場合は注意が必要です強い痛みや炎症がある場合。内服薬や外用薬で効果が見られない場合。
装具療法手首や指の動きを制限し、安静を保つためのサポーターや装具を使用します。指や手首への負担を軽減し、治癒を促します。安静が必要な場合。特定の動作で痛みが誘発される場合。
リハビリテーション専門家によるストレッチ指導やマッサージ、温熱療法、電気療法などを通じて、指や手首の機能回復を目指します。正しい体の使い方を学ぶことも重要です。痛みの軽減後、機能改善を目指す場合。再発予防のため。
手術療法保存療法で症状が改善しない場合や、ばね指などで指の引っかかりがひどく日常生活に大きな支障が出ている場合に検討されます。腱鞘の一部を切開し、腱の通り道を広げます。保存療法で効果がない場合。症状が重度で、他の治療法では改善が見込めない場合。

どの治療法を選択するかは、専門家との十分な話し合いの上で決定してください。治療と並行して、日々の生活の中で指への負担を減らす工夫を続けることも、症状改善には欠かせません。

6. 産後の指の腱鞘炎を予防し快適な育児を送るために

産後の指の腱鞘炎は、一度発症すると育児中のママにとって大きな負担となります。しかし、日頃からの少しの心がけで、その発症リスクを減らし、快適な育児生活を送ることは十分に可能です。ここでは、腱鞘炎を予防するための習慣と、体の中から健康を支える方法について詳しくご紹介します。

6.1 日頃から意識したい指と手首のケア習慣

日々の生活の中で、指や手首に負担をかけないための工夫や、こまめなケアを取り入れることが、腱鞘炎の予防には非常に重要です。特に、赤ちゃんのお世話は毎日続くため、無理のない範囲で習慣化できるケアを見つけることが大切です。

例えば、抱っこや授乳の合間に、指や手首を軽く休ませる時間を作るだけでも、疲労の蓄積を防ぐことができます。また、デスクワークやスマートフォンの使用時にも、定期的に手を休め、指を広げたり閉じたりする簡単なストレッチを取り入れましょう。

予防のためのケア習慣を以下の表にまとめました。ご自身のライフスタイルに合わせて、取り入れやすいものから試してみてください。

ケア習慣具体的な内容ポイント
こまめな休憩育児や家事の合間に、意識的に指や手首を休ませる時間を作ります。短時間でも良いので、定期的に手を休めることが大切です。
指と手首のストレッチ指をゆっくりと反らせたり、手首を回したりする簡単な運動を習慣にします。痛みのない範囲で、毎日少しずつ続けることが効果的です。
保温ケア手袋を着用したり、温かいお湯で手を温めたりして、指や手首を冷やさないようにします。血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。
正しい姿勢の意識赤ちゃんを抱っこする際や、授乳時に、指や手首に負担がかからない姿勢を心がけます。クッションなどを活用し、体全体で支えるようにしましょう。

これらの習慣を継続することで、指や手首への負担を軽減し、腱鞘炎の予防につながります。無理なく続けられる範囲で、日々の生活に溶け込ませることが成功の鍵となります。

6.2 腱鞘炎になりにくい体を作る栄養と休息の重要性

産後の体は、出産による疲労やホルモンバランスの変化、そして育児による睡眠不足や栄養の偏りなど、さまざまな要因でダメージを受けています。このような状況下では、腱鞘炎だけでなく、他の不調も起こりやすくなります。腱鞘炎を予防し、快適な育児を送るためには、体の中から健康を支える栄養と十分な休息が不可欠です。

特に、腱や関節の健康を保つためには、バランスの取れた食事が重要です。タンパク質は腱の主成分であり、ビタミンCはコラーゲンの生成を助けます。また、カルシウムやマグネシウムは骨や神経の健康に欠かせません。これらを意識的に摂取することで、体の修復能力を高め、腱鞘炎になりにくい体作りをサポートできます。

また、睡眠不足は疲労回復を妨げ、痛みの感じやすさにも影響します。赤ちゃんのお世話でまとまった睡眠が難しい時期でも、隙間時間を見つけて仮眠を取る、家族に協力してもらい休息時間を確保するなど、工夫して休息を取るように心がけましょう。心身のリラックスも、腱鞘炎の予防には大切な要素です。

腱鞘炎予防に役立つ栄養素と、休息のポイントを以下に示します。

要素重要性具体的なポイント
タンパク質腱や筋肉の主要な構成要素であり、修復に不可欠です。肉、魚、卵、大豆製品などをバランス良く摂取しましょう。
ビタミンCコラーゲンの生成を助け、腱の弾力性維持に貢献します。緑黄色野菜、果物(柑橘類、イチゴなど)を積極的に摂りましょう。
カルシウム・マグネシウム骨や神経の健康維持に必要で、筋肉の収縮・弛緩にも関わります。乳製品、小魚、海藻、ナッツ類などから摂取できます。
十分な休息疲労回復、体の修復、ストレス軽減に最も重要です。可能な限り睡眠時間を確保し、リラックスできる時間を作りましょう。
水分補給体内の循環を良好に保ち、老廃物の排出を助けます。こまめに水分を摂取し、脱水状態にならないように注意しましょう。

産後の体はデリケートです。栄養バランスの取れた食事と、質の良い休息を心がけることで、腱鞘炎の予防だけでなく、育児を乗り切るための体力と気力を養うことができます。ご自身の体を労わりながら、健やかな育児生活を送ってください。

7. まとめ

産後の指の腱鞘炎は、ホルモンバランスの変化、赤ちゃんのお世話による指への負担、そして日々の生活習慣が複雑に絡み合って起こることが多いものです。痛みがあると、抱っこや授乳といった大切な育児もつらく感じてしまいますよね。

しかし、ご安心ください。適切なセルフケアや育児の工夫を取り入れることで、つらい痛みを和らげ、症状の悪化を防ぐことができます。指のストレッチやマッサージ、サポーターやテーピングの活用、そして抱っこや授乳時の姿勢の見直しなど、今日からできる対策はたくさんあります。

もしセルフケアを続けても痛みが改善しない場合や、症状が悪化するようでしたら、無理をせずに専門医を受診することも大切です。早期に適切な治療を受けることで、症状の長期化を防ぎ、より快適な育児を送るための手助けとなります。

産後の体はデリケートです。日頃から指や手首のケアを意識し、十分な栄養と休息をとることで、腱鞘炎になりにくい体づくりを目指しましょう。快適な育児のために、ご自身の体を大切にしてください。

何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

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